市川翠(すい)28才。十年間、実の兄である舜と恋愛関係を続けている。そのことは、友達の瑞穂をはじめ、誰も知らない。兄は母・絢子と暮らしている。

 

ある日、音信不通だった父・惇(まこと)から一冊の本が届く。その本『瓶詰の地獄』が二人の関係や周囲に波紋を起こしていく。そして、彼女は思い出す。夏越の祓。あの日、あの川に流したものは何だったのか。

 

流しても流しても流しきれなかったもの、それは・・・

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【夏越の祓について】

六月の晦日の日(場所によっては、旧暦七月に行われる)に、たまった半年分の穢れや悪い行いを祓い浄める儀式。神社では、「茅の輪潜り(ちのわくぐり)」が行われる。これは、茅草で作られた輪の中を左まわり、右まわり、左まわりと八の字に三回通って穢れを祓うものである。

「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延というなり」

また、「形代(かたしろ)」という人形(ひとがた)の和紙に息を吹きかけたり、体を撫でて、穢れを移し、身代わりにして、それを川に流すという儀式も行われる。

 

「私の恋人は兄だ」衝撃的な告白から始まるこの映画は、二世代に渡る兄と妹の近親相姦の話を女性の目から映したものです。また、閉じられた世界で生きてきたひとりの女性が自分の足で開かれた世界へ歩いていく話でもあります。

そして、この作品のテーマは、冒頭で語られる詩(源氏物語)の「見し人の形代ならば身に添へて 恋しき瀬々のなでものにせむ」(その人がなくなった恋人の身代わりになるのなら、手元に置いて慈しもう)の「形代」と「身代わり」でもあります。流しても流しても流し切れずに何度も戻ってきては、また流され戻ってくるような想い。それは穢れや罪なのかもしれない。それでも穢れや罪なのではなく、そういうものとしてあり続けてもいいのではないかという肯定と願い。愛の物語です。

見し人の形代ならば身に添へて

        恋しき瀬々のなでものにせむ

(その人がなくなった恋人の身代わりになるのなら、手元に置いて慈しもう)

 

Introduction

Story

監督・脚本・撮影・編集・製作:大原とき緒

Co-プロデューサー:土山壮也  衣裳アドバイザー:丸山恵美  ミキサー:大谷勝巳(有限会社プロフェッショナルクラフト)

テクニカルアドバイザー・機材協力:中村元洋  ロケ場所協力:神楽坂die-pratze  作品引用:『瓶詰の地獄』 夢野久作 著

音楽:ezoshika label 『ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)』 エリック・サティ  宣伝応援:チーム☆ナゴシ

英語字幕製作:KAZ YOKOYAMA & ROSH PERERA   予告編制作:花田まり子 フライヤーデザイン:飯田佐和子

website:Song River Production   制作:movies label will☆  2014/日本/108min/カラー

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